お多福美人講座美しさは福を呼ぶ
長唄の会
新橋芸者の頃、私は立方(踊り)でした。
篠山紀信先生撮影の
「新橋芸者のいま」という特集が、4月ごろ週間現代のグラビア巻頭ページを飾っていましたが、そこには、
「新橋芸者も現在は、一人一芸の制度をやめて、立方もお囃子などを兼ねている」
と書いてあり、妹芸者たちが鼓や太鼓のお稽古をしている写真が載っていました。
芸立ちの悪い私に、もう帰る場所はありません!(笑)
お稽古では、長唄や笛もしていましたが、人前でご披露できるものではありませんでした。本当に恥ずかしい・・・
芸者をやめてからも芸の不味さがコンプレックスでしたが、やはり三味線の音色が暮らしに欲しい!と思い、再びお稽古を始めることにしました。
岐阜という場所で、素晴らしいお師匠さんに出会ったこと、お師匠さんのお人柄や、他のお弟子さんたちが素敵な方ばかりということも、お稽古再開の大きな後押しになりました。
私のお師匠さんは、
杵屋勝音江(かつねこう)というお名前で、
岐阜市内でお稽古場をひらいていらっしゃいます.
私がお世話になり始めてからも続々と新しいお弟子さんが入門されていて、
お師匠さんの芸への熱意は、語らずとも周りに伝わるんだなぁと感じています。
お師匠さんが本当に芸の好きな方なので、
私も今までより長唄に魅力を感じ、今は素人なのに、芸者時代よりお稽古している気がします。
千代田(置屋)にいた頃、一緒に住み込みをしていた長唄のお三味線のお姉さんにも相談にのっていただき、お稽古を始めることにしたのですが、決心して本当に良かったと思っています。
お師匠さんは「楽笑会」という会を主宰されています。
お稽古に上がって日が浅い私も唄のほうで末席に加えていただきました。
場所はお師匠さんの故郷、岐阜県の郡上白鳥。
その様子が岐阜新聞に取り上げられました。
この日は、お師匠さんと親交のある岐阜妓連の吟日乃(きくの)さんが黒髪を舞い、そのほかの曲のお囃子もしてくださるという豪華版。
私は、祇園や先斗町などの京都の芸舞妓さんとしかお付き合いがありませんでしたが、吟日乃さんは本当に芸がお好きでお上手な美人芸妓さんでした。
当日は緊張して、講演のときにはないほど険しい顔をしていたと思います。
あんなにお稽古嫌いだった私が、家で、長唄の本を眺めて、三味線の音を聴くと落ち着くなんて、歳を重ねていくと、知らない自分に出会うこともあるんだなぁと思っています。